「丸島さんが日本の特許の歴史を開いたんだよ」
特許で守り、特許で攻める。キヤノンの卓抜した技術力の背景には絶妙な特許戦略があった。キヤノン入社以降、特許一筋の人生を歩んだ丸島氏が語る。
シェア ツイート

第四章 何のためのプロパテントか

プロパテント政策とは

*アメリカで始まったプロパテント政策

 プロパテント(Pro-patent=特許重視)という言葉がアメリカで広く知られるようになったのは、一九八五年頃からである。一九八五年というのは、プラザ合意の年だ。貿易赤字と財政赤字という「双子の赤字」に悩んだアメリカが、G5に呼びかけ、ドル安容認の政策を認めさせたのである。その結果一九八五年当時一ドル二四〇円だった円は、二年後には一二〇円にまではね上がった。こんな途方もない政策を貿易相手国が容認しなければならないほど、アメリカ経済は疲弊していたのである。

 その一九八五年一月に発表されたのが、〝産業競争力に関する委員会〟報告、通称ヤング・レポートである。この中でプロパテント政策は、アメリカの産…

この作品では本文テキストのコピー機能を無効化しています

01