戦時下と変わらない「空気を読め」のシステム
エロ・グロ・ナンセンス〜日中戦争・太平洋戦争期までの資料を丹念に追い、一言では言い尽くせない検閲の世界に迫る。
シェア ツイート

第二章 世間と共振する検閲(一九三二~一九三六年)

ミリとテロの時代へ

「エロもグロも古いとなつたら、次に来るものは何でせうか?」。雑誌『人の噂』が一九三二年五月号で行ったこのアンケートに、複数の識者はこう答えた。

「テロ」

「テロでせうね」

「テロ横行時代を現出しはしないだらうかと思ひます」

「次にくるものは『ミリタリズム』即ち『ミリ』かと思ひます」

「次にくるものはテロ?」

 その予言のとおり、エロ・グロ・ナンセンスの時代は終わり、ミリ(軍国主義)とテロの時代がやってきた。

 前年九月に勃発していた満洲事変に加え、一九三二年一月には上海で日中両軍が衝突した。この第一次上海事変で、日本軍の工兵三名が自爆して味方の突撃路を開いたと宣伝され、「肉弾三勇士」や「爆弾三勇士」と讃えら…

この作品では本文テキストのコピー機能を無効化しています

01