戦時下と変わらない「空気を読め」のシステム
エロ・グロ・ナンセンス〜日中戦争・太平洋戦争期までの資料を丹念に追い、一言では言い尽くせない検閲の世界に迫る。
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第三部  戦争と検閲

第五章 日中戦争と忖度の活用(一九三七~一九四一年)

日本兵の残虐行為は掲載不可

 一九三七年七月七日、盧溝橋事件が勃発した。日中両軍の偶発的な小競り合いは、ボタンの掛け違いで燎原の火のごとく広がり、やがて全面衝突の日中戦争へと発展していった。

 この戦争で、検閲をめぐる状況も大きく変わった。軍事機密を守るため、陸軍大臣と海軍大臣が「新聞紙法」にもとづいて広範な記事差止を発令したのである(陸軍省令、海軍省令)。この結果、軍事にかんする記事や写真の多くは、事前許可がなければ掲載できなくなった。

 制限事項は、「新聞掲載禁止事項の標準」と「新聞掲載事項許否判定要領」(陸軍)もしくは「新聞(雑誌)掲載事項許否判定要領」(海軍)で定められた。陸軍のばあい「標準」は、動員・編制、作戦…

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