毎年100兆円、GDPの2割を占める「社会保障」の全体像を知る
制度の成り立ちから、我が国の問題点、改革の方向まで、「ミスター年金」と言われた元大物官僚が解説する格好の入門書。

9章【改革の方向性】「安心」を取り戻すために、どう改革を進めるべきか

 物理や数学の解答とは違い、社会的な問題の答は一つではありません。答はいくつもあり、正解が一つというわけではありません。つまり、選択肢はいくつもあるということです。

 行政官は、やらなければならないことがあり、実現の方法に選択肢がいくつかある場合には、実現可能性が高い方法はどれかということをまず考えます。山登りと同じです。ゴールは同じですが、辿りつくルートを考え得るだけ考えて、もっとも合理性と実現性が高いルートを選択します。

 改革──制度改正、そのほとんどは法律改正が必要です──を実現するためにまずやらなければならないのは、利害関係者──ステークホルダー──との調整です。社会保障の世界では、もち…

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