敗戦後まもない時期で、所得格差が広がっておらず、非正規社員がほとんどいない終身雇用と完全雇用という盤石な雇用状況に後押しされて、皆保険、皆年金という世界に冠たる制度をつくることができたことは、前述のとおりです。
しかし、制度はつくって終わり、ではありません。つくってはみたけれど、すぐに壊れてしまいました、うまくいきませんでした、では意味がありません。制度は維持し、発展させなければなりません。それができた理由は、制度をつくった後に、日本が高度経済成長を果たしたからです。
医療保険制度ができて、最初はたしかにとても薄っぺらな医療保険制度でしたが、それでも国民のすべてに医療が保障されました。保険証…
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