ここまでは、社会保障は社会の安定を基底から支えていること、マクロ経済や国家財政と密接な関係にあること、巨大化した今日の日本の社会保障は負担であると同時に経済成長のエンジンたり得ることなどを見てきました。その上で、歳出が歳入を大きく上回る状況が続いている、社会保障を含む我が国の財政は危殆に瀕しており、これ以上次世代への借金の付け回しをすべきではないことを指摘しました。
第Ⅲ部では、日本社会のために社会保障に何ができるか、社会保障はこの国の発展のためにどんな貢献ができるかについて考えます。
社会のために社会保障に何ができるかを考える前に、その大前提として、私たちはいったいどのような社会を望んでい…
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