「南は獲る人、北は食べる人」
エビフライ,天ぷらなど,一人平均で年に七○匹.世界一のエビ消費国・日本は,その九割を輸入に頼っており,エビはいまや輸入食品の中でも首位の座にある.だが,一体どこでどのように獲られているのか.インドネシアでトロール船に乗り,台湾で養殖の実情を見るなど調査を重ねてきた著者が,日本とアジアとの知られざる関係を語る.

村で進む商品経済化

 ラトンコさんは突然の異邦人の来訪にビックリしたようだが、すぐに大そうなもてなしをしてくれた。池でエビとサバヒイを獲り、たき火で焼いて出してくれる。

 二メートルほどの高床の番小屋の床は竹だが、居間も寝室も台所もあり、台所では煮炊きもできる。素焼きの大きな水ガメが二つある。水は、近くのカンポンまで汲みにゆく。カンポンまでは二キロも離れているので、重労働である。床の下には、鶏と犬が暮している。ラトンコさんは、あと二つの小さな番小屋をもっており、池の管理のため、ときどき移動する。とりわけエビ泥棒の見張りが大変だ。収獲前の池には泥棒が多い。犬を飼っているのもそのためである。

 養殖池主(ポンガワ)と小作…

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