「南は獲る人、北は食べる人」
エビフライ,天ぷらなど,一人平均で年に七○匹.世界一のエビ消費国・日本は,その九割を輸入に頼っており,エビはいまや輸入食品の中でも首位の座にある.だが,一体どこでどのように獲られているのか.インドネシアでトロール船に乗り,台湾で養殖の実情を見るなど調査を重ねてきた著者が,日本とアジアとの知られざる関係を語る.

「トロール? 困ったもんだ」

 マヌンバイ水道を抜けるとブラカン・タナ(「裏の土地」という意味)。西風のモンスーン期(一〇月〜四月)に、ブラカン・タナの人びとは「海の宝」を採取する。ナマコと真珠の母貝の白蝶貝と、そしてアガルアガルである。いまは白蝶貝採取の最盛期である。西海岸のカンポンの人びとも、船をくり出してきている。

 さっき獲ったエビは、古くなったヤシ油ですべて揚げてしまった。気のいい船長は「獲れたてでいから食え」という。三、四尾はいいが、油臭くてそれ以上は食べられない。

 突然、スコールが襲ってきた。夜のように暗くなり、突風に見舞われる。時ならぬスコールに会い閉口していた白蝶貝ダイバーの乗った小舟(ピサン〈バナナの…

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