「南は獲る人、北は食べる人」
エビフライ,天ぷらなど,一人平均で年に七○匹.世界一のエビ消費国・日本は,その九割を輸入に頼っており,エビはいまや輸入食品の中でも首位の座にある.だが,一体どこでどのように獲られているのか.インドネシアでトロール船に乗り,台湾で養殖の実情を見るなど調査を重ねてきた著者が,日本とアジアとの知られざる関係を語る.

プロローグ──なぜエビか?

バナナとエビ

 バナナとエビとは、食品としては、かけ離れた食べ物である。ただ日本の消費者からすると、この二つの食べ物は妙に似かよったところがある。

 一九五〇年代半ば以前に生まれた日本人にとっては、バナナもエビも、高級食品というイメージが強い。事実、一九六〇年代半ば頃まで、バナナは「病気になると食べられる」ような高級滋養食といえるものだった。バナナの輸入が自由化されたのが一九六三年。以後、台湾バナナの輸入が急増、それを追って南米(特にエクアドル)バナナが大量に入ってくる。そして六〇年代末になると、いまではなじみのフィリピン産バナナが入り始める。

 焼け跡の時代、ノリ弁当やタマゴ弁当がうらやましがられた。バナナは…

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