バナナとエビとは、食品としては、かけ離れた食べ物である。ただ日本の消費者からすると、この二つの食べ物は妙に似かよったところがある。
一九五〇年代半ば以前に生まれた日本人にとっては、バナナもエビも、高級食品というイメージが強い。事実、一九六〇年代半ば頃まで、バナナは「病気になると食べられる」ような高級滋養食といえるものだった。バナナの輸入が自由化されたのが一九六三年。以後、台湾バナナの輸入が急増、それを追って南米(特にエクアドル)バナナが大量に入ってくる。そして六〇年代末になると、いまではなじみのフィリピン産バナナが入り始める。
焼け跡の時代、ノリ弁当やタマゴ弁当がうらやましがられた。バナナは…
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