「南は獲る人、北は食べる人」
エビフライ,天ぷらなど,一人平均で年に七○匹.世界一のエビ消費国・日本は,その九割を輸入に頼っており,エビはいまや輸入食品の中でも首位の座にある.だが,一体どこでどのように獲られているのか.インドネシアでトロール船に乗り,台湾で養殖の実情を見るなど調査を重ねてきた著者が,日本とアジアとの知られざる関係を語る.

「エビに翻弄される」──廖さんは語る

 ブラック・タイガーの養殖技術を確立した廖一久さんは、台湾では「草蝦之父」とも呼ばれている。

 「エビというのは、どこか人間を翻弄するようなところがある。私も翻弄された一人でしょう。……あのクルマエビの藤永元作先生もそうでしょう。藤永先生のことを書いた本、そう『エビに憑かれて四拾年』(緑書房、一九七五年)という本があるでしょ。憑かれるんです、ホンローされるんです」

 廖さんは初対面の私たちに、ゆっくりと、かみ砕くようにエビの話を聞かせてくれた。

 「エビに翻弄される」

 その感覚は、門外漢の私にも何となく分かる。最近『えび学の人びと』という本を上梓された酒向昇さんも「エビに憑かれた」人だろう。東京水産…

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