南スラウェシ州五万四〇〇〇ヘクタールの養殖池は、ほとんどがマカッサル海峡に面した西海岸の汽水域に広がる。日本に輸出される三〇〇〇トンほどの養殖エビや海で獲れたエビは、すべて州都ウジュン・パンダンの五社の冷凍工場に運ばれる。遠くはボネ湾のパロポやルウ地方から四〇〇キロ近く、トラックに揺られて運ばれてくるエビもある。年に三〇〇〇トンを超えるエビ、トラックで一トンずつ運んでも三〇〇〇台ものエビのクルマが、スラウェシの道を走る。実際は、一トンも積まずに走ることが多い。だからもっと頻繁にエビ・トラックが海岸の村々を通り抜けているはずである。
エビの通る道には〝関所〟がある。貨物運送税の徴収所である。氷…
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