「南は獲る人、北は食べる人」
エビフライ,天ぷらなど,一人平均で年に七○匹.世界一のエビ消費国・日本は,その九割を輸入に頼っており,エビはいまや輸入食品の中でも首位の座にある.だが,一体どこでどのように獲られているのか.インドネシアでトロール船に乗り,台湾で養殖の実情を見るなど調査を重ねてきた著者が,日本とアジアとの知られざる関係を語る.

コールドチェーンと冷凍食品の普及

 一九六八年一月二九日付『朝日新聞』社会面は「エビ天はぜいたくか 賃上げをめぐって論争 日経連…生活が向上した証拠 総評…よく働くための源泉」との見出しの大きな記事を載せた。知る人ぞ知る「エビ論争」である。

 ことの始まりは六八年一月の日経連の『賃金白書』、この中で「エビの輸入がこんなにふえたのは労働者の生活水準が上がっている証拠」(だから賃上げを小幅に)と経営者側が主張した。それに対して、労働者側は「国の経済発展の源泉たる労働者には、どんどんうまいものを食わせるべきだ。一体、日本で売れるエビの何%を、労働者が食べているのだろうか」(太田薫合化労連委員長=当時)と反論、春闘を前に熱いエビ論議が交…

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