医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

4 家族の影響も

 本人の意思決定とあわせて高齢者の診療の特徴となるのが、付き添いの家族がつくことである。がんなどの治療を受ける、受けないという問題は、本人の生命はもとより、家族の生活にも大きな影響を与える。その点で、家族が同伴する・しないはどうしても治療方針に影響を与える。

 例えば、高齢者に多いがんに前立腺がんがある。前立腺がんは、一言でがんとは言っても、生命に影響するリスクの高い場合から低い(余命に影響をしない)場合まで幅がある。特にリスクが低い場合には、治療をせずに経過を見ても余命に影響しないことが科学的にはわかっている。しかし、実際の診療場面では、経過を見ることを何もしないととらえ(実際には定期的な観察…

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