医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

2 大腸がん検診における損失フレームを用いた受診勧奨

大腸がん検診の必要性

 日本で大腸がんによって亡くなる人は毎年53万人と非常に多く、日本人のがん死亡の第2位、特に女性のがん死亡の第1位となっている★7。大腸がんでは、がん検診の有効性が特に高く、がん検診を受けて見つけることができれば早期に治療ができ、完治を見込めるという病気である。日本でがん検診を実施している主体は、各地域の自治体である。国のがん対策推進基本計画でがん検診の受診率を50にすることが決まり、各自治体は、受診率を上げることに取り組んできた。しかしながら、大腸がん検診の受診率は415%★8 と依然として低く、先進国の中で最低レベルにある。

 内閣府が行った「がん対策に関する世論調査」(2017年度)に…

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