医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

5 限定合理性

 伝統的経済学では、人間は得られる情報を最大限に用いて合理的な推論に基づいて意思決定すると考えられてきた。しかし、私たちは、意思決定に思考費用がかかることから、直感的に判断することが多いため、系統的に合理的な意思決定と比べて偏った意思決定を行うことが知られている。

 論理的には同じ内容であっても、伝達されるときの表現方法の違いによって、伝えられた人の意思決定が異なってくるというフレーミング効果、直感的な意思決定による系統的な意思決定の偏りを表すヒューリスティックス、意思決定の際にその範囲を狭く(ブラケッティング)して考えるメンタル・アカウンティングなどが代表的である。

サンクコスト・バイアス

 第1章で紹介したつらい治療…

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