医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。
シェア ツイート

2部 患者と家族の意思決定

1 がん治療における意思決定とその支援

医師「検査の結果初期の卵巣がんだということがわかりました。あなたの病状ですと、まずは手術をしてから、抗がん剤を使うというのが標準的な治療の方法になります。抗がん剤には脱毛や吐き気といったような副作用もありますが、その点については可能な限り薬で対応していきます。転移もなく、がんを治すことを十分目指せる状況ですので、がんばって一緒に治療していきましょう。」

患者「……。」

医師「(迷うような局面ではないだろう。きちんと話すべきことは話したし、とくに問題なく標準治療に進めるはず。)」

患者「すみません、ちょっと考えさせてください……。」

 がん治療にあたる医療者は、がん患者やその家族に対して、病状を告げるこ…

この作品では本文テキストのコピー機能を無効化しています

01