医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

5 急性期の意思決定:医療従事者の気持ちが反映してしまう

 患者の意思決定が非合理的になってしまうことは、これまでの章でも多々触れてきたので、ここでは、急性期における医療従事者側の意思決定における注意点についても触れておきたい。

 よくあるシチュエーションとしては、次の2つである。

ケース1 93歳男性で、慢性心不全、慢性腎不全で透析中。明確な事前指示は確認していないが、繰り返す入院で本人もやや疲弊している。家族は積極的な治療はあまり希望していない。本人はかなり呼吸困難が強く、酸素化も低下しており、医学的に人工呼吸管理が必要である。

ケース2 30歳女性で、既往として特記すべきことなし。数日前からの感冒症状で胃腸炎になったと昨日言っていたということ。来院当…

この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています

01