医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

3 乳がん検診受診の行動変容:行動変容モデル・ナッジ・フレーミング効果

 乳がん検診の普及啓発運動である「ピンクリボンキャンペーン」を含む様々な取り組みによって、乳がんや乳がん検診自体の認識は非常に高くなっていたが、日本における実際の検診受診率は2007年の時点で203%であり、イギリス738%、アメリカ510%、韓国458%と比較するととても低かった★9。そこで、2008年に定められたがん対策基本計画においては目標となる受診率が50と設定され、それを受けた厚生労働省の研究班10 が、行動変容の理論とフレーミング効果を応用した、乳がん検診の受診率向上のための研究を行った。

乳がん検診受診行動の行動変容のための介入研究

 まず、われわれの研究グループでは、行動変容の理論であるトランスセオレティカル・モデ…

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