医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

3 医療行動経済学のこれから

 医療健康分野の行動経済学は、今後、どのような方向に進んでいくだろうか。一つの方向性は、様々な医療健康分野のトピックで行動経済学的な特性の影響を検証していく、というものである。過去の研究を見てみると、喫煙や肥満のような習慣性の強い行動と行動経済学的な特性に関する研究が多く行われてきた。それに続いて、ワクチン接種や検診受診のような健康予防行動を対象にした研究が進められているが、それらの意思決定の特徴を探究する余地は大きい。本書では、乳がん・大腸がん検診、子宮頸がんワクチン、循環器疾患、延命治療の中止・緩和ケア、遺族の後悔、臓器提供などの個別具体的な場面に基づき、関係者の意思決定を行動経済学的な観…

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