医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

3 現在バイアス

 肥満は様々な生活習慣病の引き金になると言われている。40歳から74歳の人にメタボリックシンドロームに着目した特定健診が行われているのも生活習慣病を予防するためである。多くの人は、肥満になると将来の健康が悪化する可能性が高まることを知っている。それにもかかわらず、肥満になってしまう人がいる。

 伝統的な経済学では、「太った人は合理的な意思決定の結果太っている」と考える。つまり、食事をする際に、もう一口食べると食欲が満たされる嬉しさとそれによって将来太るという損失を天秤にかけて、前者が後者を上回る限り食べ続け、ちょうどバランスするところで食事をやめると考える。その結果、太っているなら、最初から覚悟…

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