医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

おわりに

行動経済学を学んだ緩和治療医:アドバンス・ケア・プランニングの視点で

森田達也 

A「なあ、急に具合悪くなったときって、救急車呼ぶんかどうか決めとかんでええの?」

B「ちょっと、聞きにくいことなんですけど、もし通院できなくなってきたら、どうします? つまり、入院するとか往診の先生に来てもらうとか、この辺だとホスピスもあるじゃないですか。そういうところも予約しとくかとか、そんなこと、考えたりしてます?」

 Aは筆者が家族として母を在宅介護していた父に実家に帰ったときに聞くこと、Bは緩和治療医という仕事がら患者さんによく聞くことである。この質問に対する回答はおおむねはかばかしくない。「そりゃええこと聞きましたわ~」と喜んでくれる人が少ないのが、現在すぐに効果の実感できる痛みの治療と…

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