医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

 78歳の男性が、呼吸困難を突然自覚し、救急外来に救急車で搬送された。非ST上昇型急性心筋梗塞に伴う心不全と診断された。酸素、利尿薬および強心薬の点滴という治療を現在行っている。左室駆出率が20前後と極めて心機能が悪いため、ここから急変の可能性が高いと医師は考えた。そのため、急変時の対応について、本人および付き添いの75歳の妻、緊急で呼び出された50歳の息子と相談しているところである。

医師「急変の可能性もあり、心停止になった場合に心肺蘇生行為を行うかどうかを事前に決めておく必要があります。心肺蘇生行為というのは人工呼吸と心臓マッサージを含み……。」

妻「そんなこといきなり言われても……。」

息子…

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