医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

3 生命維持治療の中止は違法行為?

 確かに、生命維持治療の差し控えと中止を倫理的に同質の行為とみなすことで様々な問題が矛盾なく解決できるかもしれない。とはいっても、実際に生命維持治療を中止した結果、違法行為として訴えられることはないのだろうか。医師の中には、「生命維持治療の中止は個人的には許容できるが、実際に行うことについては訴追の恐れがあるため躊躇する」という意見は少なくない。

 過去には生命維持治療を中止した医師が警察の介入を受け送検されたケースが存在する(2004年道立羽幌病院事件、2006年射水市民病院事件、2007年和歌山県立医大病院事件)。これらの事件はニュースでセンセーショナルに(例えば「安楽死を実施した医師に殺人…

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