医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

3 「ナッジ」で医師の診療行動を改善させる

 以前までは行動経済学は患者の行動を改善する目的で研究されていたが、ここ数年、このような医師の診療行動を改善するためにも有用なのではないかと考えられるようになってきた。

 最近は医師に「ナッジ」することで、より適切な診療パターンを身につけてもらおうという動きがある。ウイルス感染である風邪には抗生剤は効かない。しかしながら、患者がしばしば希望することもあり、風邪に対して抗生剤を処方する医師も多い。この不適切な処方を減らすために、アメリカの研究者たちはいくつかのナッジを用いたランダム化比較試験を行った。電子カルテで風邪に対して抗生剤を処方するためには、その正当性をフリーテキストで説明させ、それを同僚…

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