医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

3部 医療者の意思決定

〈ステージ4の肺がんを患っている佐藤一郎さんの家族と担当医の会話〉

担当医「抗がん剤治療をしてきましたが、効果がありません。肺炎が疑われる陰影が胸部レントゲンで広範に認められ、呼吸不全があったため、人工呼吸管理下で肺炎の治療を行ったのですが、病状は回復しませんでした。佐藤さんは挿管チューブを嫌がられ、不穏状態になったので鎮静剤を投与されている状態です。しかし、自発呼吸が弱いので、人工呼吸管理を中止すると生命の維持は困難と予想されます。」

家族「夫はもともと延命治療を望んでいませんでした。先生もご存じのとおり、病気が進んでも延命治療は施さずそのまま自然に看取ってほしいと言っていました。しかし、肺炎は…

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