医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

3 行動経済学的アプローチを用いたがん患者の意思決定支援

 以上見てきたように、がん治療の現場で生じる「予想外の選択」は、行動経済学の考え方を適用することである程度理解することができる。では、患者の選択の背景を理解したとして、医療者は行動経済学的な考え方をどのように意思決定支援に活用することができるのだろうか?

患者が有するバイアスの理解

 先ほどの事例で紹介したように、患者は様々なバイアスを有しており、それが治療選択に影響を与えている。そのこと自体を理解することそのものが、まずは有効であると考えられる。なぜならば、「なぜこの患者はこんなに何度説明してもわからないのか?」という疑問は、時として患者に対する医師のネガティブな感情を引き出すからである。こうした感情は、患者の理解を得る…

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