医療現場で「非合理な意思決定」が行われるメカニズムとは
医療現場での「決められない」「先延ばし」はなぜ起こってしまうのか? 行動経済学を用いて理論的背景とその解決策を示す。

1 人間の意思決定のクセ

 正確な医学情報さえ与えられれば、患者は合理的な意思決定ができるという前提で、多くの医師は患者に情報を与えているのではないだろうか。しかし、先に示した事例からもわかるように、多くの患者は、必ずしも医学的に望ましいと思えるような意思決定をしているわけではない。医療者は、患者の意思決定の特性をよく理解して、情報の提供の仕方を考えるべきである。また、患者は、医師から与えられた情報をもとに、適切な意思決定ができるように、陥りがちな意思決定のバイアスを理解しておく必要がある。

 人の意思決定には、どのような特徴があるのだろうか。行動経済学は、人間の意思決定のクセを、いくつかの観点で整理してきた。すなわち、…

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