846回の「虚の発表」ーー彼らは客観的な事実を見つめて表現するという能力に著しく欠けていた
関係者の証言、発表回数や発表場面、発表の表現など、当時の資料を解析することで何が見えたのか? 大本営発表の登場から消滅まで。

文庫版あとがき

 本書は、太平洋戦争下の「大本営発表」について具体的な考証を試みた書である。今やこの語は歴史のなかで記憶が薄れていく語である。

 実際に、「大本営とは何か」「大本営発表とはどういう意味か」との問いを、私もしばしば耳にする。私は、この言葉が死語であることに不安をもっている。つまりこの語には「言論が一元化されたときの社会の大きな歪み」が含まれていると思うからだ。日本の指導層に位置する人(たとえば官僚などがそうだが)は、常に自分だけに都合のいい情報を流そうとしている。その立場からいえば、「大本営発表」とはなんとも便利なシステムであり、便利な語なのである。その分だけ、国民が「知る権利」から…

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