政治は大衆の欲望に基づくべきではない
民主主義のアップデートは可能か。「空気」を可視化し、合意形成の基礎に据えられないか――刊行時、活発な議論を招いた重要書。

第九章

 熟議とデータベースが抗争する場、公共的な意識と可視化された無意識が衝突する場として、新しい政府のすがたを考えるべきだ。それが前章の提案だった。

 では、その抗争の場はどのように設計されるべきだろうか。そこで重要になるのが、可視化された無意識=一般意志を「モノ」として捉えるという視点である。

 前章までの数章の議論はあまりにも抽象的だったかもしれない。社会思想との対決を意識すると、どうしても書き方が観念的になる。ここからはふたたび具体的に考えてみよう。

 わたしたちの政府の動きはさまざまな制約のもとに置かれている。まずは予算である。いくらこうまいな理念を掲げても、税収がなければ政策はなにも実行できない。…

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