東宝・小林一三の「理想」vs.松竹兄弟の「現実」
演劇を近代化した稀代の興行師、大谷竹次郎・白井松次郎兄弟と小林一三の活躍を中心に描いた、新たな演劇史。

第四幕 東京劇界の攻防

 白井松次郎、大谷竹次郎のまつたけの事業拡大はとどまるところを知らない。東西それぞれで歌舞伎、その他の演劇に加え、映画の興行と製作、さらに宝塚に対抗しての少女歌劇、東西に一大演劇帝国を築いただけでなく、全国に映画館チェーンも展開していった。

 小林一三は宝塚少女歌劇の成功をステップに本格的に演劇を事業化すべく動きだし、ついには演劇興行会社としての株式会社東京宝塚劇場を創業する。映画はまず映画館を建てて興行から始めたが、やがて製作会社を吸収して配給・興行部門と統合して東宝映画株式会社とし、さらに演劇と映画とを合体させた東宝株式会社へと発展させる。

 鉄道経営者の片手間と思われた小林一三の演劇事業は、東京…

この作品では本文テキストのコピー機能を制限しています

01