「今日が真実を伝える最後のチャンスだ」
2020年1月23日、中国・武漢は都市封鎖に踏み切る。国家主席・習近平の決断だ。これにより中国はコロナの封じ込めに成功した。しかし、これが未曾有のパンデミックになるであろうことは、ロックダウンの25日前、2019年12月30日に警告されていた――しかも中国の医師たちによって。収束を見せないパンデミックはいかにして起きたのか? The New York Times特選記事。

1231日、中国国家衛生健康委員会調査団が武漢に到着

 ウイルスは華南海鮮市場で発生したとみられていた。緊急速報よりも1週間前、地元医師団は原因不明の肺炎を患った同市場で働く65歳の労働者の検体を採取して中国南部のゲノム企業「ビジョン・メディカルズ(広州微遠基因科技)」へ送った。同社のラボでの検査結果は「SARSに似たコロナウイルス」だった。別の二つのラボでも同様の検査結果が出た。

 ところが、誰も公表に踏み切る勇気を持ち合わせていなかった。

 コロナウイルスの多くは動物やヒトに感染するものの、多くは命に関わるような重病につながらない。しかし二つ例外がある。一つはSARSであり、もう一つは中東呼吸器症候群(MERS)だ。動物からヒトへの感染が近年確認…

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