「今日が真実を伝える最後のチャンスだ」
2020年1月23日、中国・武漢は都市封鎖に踏み切る。国家主席・習近平の決断だ。これにより中国はコロナの封じ込めに成功した。しかし、これが未曾有のパンデミックになるであろうことは、ロックダウンの25日前、2019年12月30日に警告されていた――しかも中国の医師たちによって。収束を見せないパンデミックはいかにして起きたのか? The New York Times特選記事。

 広東省当局は116日に緊急ミーティングを開き、病院や保健所の体制強化を協議した。沿岸の浙江省では、省衛生庁の元トップである李蘭娟が「武漢の病院で医師が感染している」というニュースを受け、NHCの馬に連絡を入れて徹底的な調査を要請した。

 そのころには政治情勢は当初と様変わりしていた。広東と浙江の両省は中国内では経済の中心地であり、武漢を省都にする湖北省以上の影響力を持っている。118日、馬は3度目の調査団を結成して武漢へ派遣した。調査団を率いるのは「英雄」の鍾である。

 武漢入りした鍾は、元教え子から「武漢の状況は報道されているよりもずっと悪い」と聞かされた(広東省の地元紙とのインタビューで…

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