いまや「斜陽産業」暴力団の実態とは
怖くて誰も書けなかった、これが「暴力団の虚像と実像」! 新宿歌舞伎町の通称・ヤクザマンションに事務所を構え、西成の賭場に単独で潜り込み、ヒットマンの壮行会に列席…著者の日常はまるで“東映ヤクザ映画の世界”。警察が山口組の弱体化目的でナンバー2と3を逮捕した2010年の「頂上作戦」以降、組はますます潜行し正体が見えづらくなった。しかし「殺すぞ」などの脅迫にも怯まず15年、暴力団専門ライターとしてヤクザと寝食を共にしてきた経験がここに結実!

《第三章》 愚連隊の帝王・加納貢

『地獄谷』というバー

 通称・地獄谷というバーは、新宿末広亭近くの雑居ビルにあった。表看板は蛍光灯の透過式で「ボタンヌ」という店名の横に音符のイラストが描かれていて時代を感じさせた。ボタンヌという名は、マッチを製作した際、業者がフランス語風に綴ったスペルを間違って印刷し、そのまま定着したらしい。本来は「ボタン」が正式名称である。

 洒落た名前とは裏腹に、階段を上って店に行くとおどろおどろしい空気に圧倒される。錆び付いた鋲で周囲を飾られた木製ドアは上部がアーチ状になっており、足下部分はニスが剥げ落ち、所々朽ちている。一見するとお化け屋敷の風情だ。吸血鬼が飛び出してきて…

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