実は、積水ハウス事件の計画立案者と目される内田や北田たちは、はじめから積水ハウスを騙そうとしていたわけではないようだ。五五億円以上を騙し取った取引総額七〇億円の大掛かりな売買になるとも、考えていなかったフシがある。
駐車場の契約を使い、海老澤佐妃子の個人情報を得た内田らが次に計画したのは、金融業者からの融資詐欺だった。犯行グループと接点がある先の不動産業者は、そのあたりの事情にもやたら詳しい。
「内田たちはまず、いつものようにニセ海老澤佐妃子を手配しました。なりすまし役の手配師は、『池袋の女芸能プロダクション社長』と呼ばれる秋葉紘子です。ただ、なりすましの出来としてはあまりよくなかったのかもし…
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