それなのに、なぜ逃げるのか
近年相次ぐ、保釈中や拘留中の逃走、そして刑務所からの脱走。罪を犯した者や、その嫌疑がかかる者が逃げれば、その都度ニュースとなり、世の中を大きく騒がせる。彼らはなぜ逃げたのか。そして、なぜ逃げることができたのか。公判記録や逃亡犯との交流、現場の足取りから、その謎に迫りたい。日本においては、犯罪を犯しても、また、何か疑いをかけられても、〝逃げるが勝ち〟であり、それが許されているのではないか……。

7回 宮迫ギャラ飲み「金塊強奪犯」の知られざる脱走記

 福岡市博多区の路上で20167月、75000万円相当の金塊が持ち去られた『博多7億金塊強奪事件』。警察官に変装した男たちが、金塊をアタッシェケース数個に分け運搬していた男性3人に向かって職務質問を装い「警察だ」と声をかけたのが事件の始まりだ。男たちは「警察署で調べる」と、密輸事件の捜査名目でアタッシェケースを渡すよう要求し、点検するふりをして車に積み込むと、そのまま立ち去った。

 金曜日の朝9時半ごろ。現場はJR博多駅筑紫口近く。通勤時間帯の往来で堂々と繰り広げられたこの“強奪劇”により持ち去られた金塊は約160キロ。宮城県の貴金属取引…

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