伝説が創られる者こそが伝説になる
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時代がシャネルを形づくり、シャネルが時代を変えてきた。 二十世紀の女性にラディカルな革命を起こしたシャネル。 豊富な新資料によって明らかにされる、その変革の源。 父に棄てられて修道院で育ち、愛人の援助によりキャリアを スタートさせ、常識をくつがえす革命的なモードを 次々に世に出して世界的に成功する。 ピカソ、ダリ、ストラヴィンスキーなど、 モダニズム、アヴァンギャルド、シュールレアリスム、 ユースレヴォリューションといった同時代の文化を担う 一流の芸術家や著名人たちとの華やかな交際によって、 その形成にも一翼を担い、裕福で自立した恋多き女性の スタイルアイコンとして時代の寵児となる。 第二次世界大戦ではスパイ容疑をかけられて国外へ脱出、 失意の期間を経ながらも、晩年に奇跡のカムバックを果たし、 世界で最も有名なファッションブランド帝国を築く。 ――よく知られたこのストーリーの底に流れる、驚くほどの 反骨と自立の精神、時代を見抜く直感、ビジネスへの飽くなき熱情、 そして、その代償がごとくの華やかな情事の裏の圧倒的な孤独…… シャネルの人生は、彼女が生み出したスタイル同様、 今も、働く女性たちの葛藤と重なる。と同時に、 彼女が生み出したのは、決してモードにとどまるものではなく、 現在へと続く「時代」そのものであったことがわかるだろう。

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