3・11から10年経っても、ほとんどが「机上の空論」
原発再稼働を決める条件にすらなっていない「原発避難計画」の実態。道路崩壊や段差、崖崩れ、津波被害や浸水被害による通行止め、さらには放射性物質の流れる風向きは――。原発のある町を訪ね歩き、実現可能な避難計画のありかたを検証する。

5回 高浜・大飯・美浜・敦賀発電所――若狭湾・恐怖の原発銀座

「逃げられないとわかっていても、逃げなくちゃいけない」

 ある女性が「原発が爆発したら避難はできないので、餓死を覚悟しています」と言った。

 今年の6月、福井県若狭湾周辺の地域に住む女性たちがパソコンの画面越しに集まった。定期的に開催されている茶話会で、原発の問題などをシェアする場になっている。その中での話だ。

「餓死」は、夫を介護しているIさんの発言だった。要介護3の夫は、心臓や肺も弱く、避難所に無事にたどり着ける可能性は低い。食料が尽きることを想定してIさんは「餓死」と言ったのだ。

 また、90代の両親を介護しているHさんも、避難ができ…

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