3・11から10年経っても、ほとんどが「机上の空論」
原発再稼働を決める条件にすらなっていない「原発避難計画」の実態。道路崩壊や段差、崖崩れ、津波被害や浸水被害による通行止め、さらには放射性物質の流れる風向きは――。原発のある町を訪ね歩き、実現可能な避難計画のありかたを検証する。

6回 愛媛 伊方原発――日本一細長い佐田岬半島の原発

札束が人間関係を切り裂く

 かた原発をめぐっては、人が一人、亡くなっているという。1973年、原発立地計画場所の土地所有者であった井田キクノさん(当時72歳)が、自宅納屋で、ナイロンテープで首を吊った。夫が原発建設反対派であることを知りながら、しつこい土地売り渡し要求に反対し切れず、1970年、自分名義の土地を売り渡す売買契約書に押印した。これが原因で夫婦仲が悪くなり、1972年にキクノさんは家を出る。1年ほどで戻ってきたものの、戻って4日目に自殺している。

 伊方町に住む男性(60代)に、「そんなに悲しい出来事が本当にあったのですか?」…

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