どうして過疎の町は世界の憧れになったのか?
過疎の町が世界の憧れの的に!「どこに行っても同じ風景」にならないためにイタリアの小さな町が取り組んできたこと。

*円錐形の小さな石の住居、トゥルッリ

 まだ学生の頃、洞窟住居で知られるバジリカータ州のマテーラを見るために、列車で一人旅をした。車両で向かいに座った南部のおじさんにそのことを話すと、急に顔を曇らせた。

「なぜ、そんなところに行きたいのだね」

 何が彼を不愉快にさせたのか、理由がわからない。

「なぜですか」と訊くと、おじさんは、こうつぶやいた。

「あそこにあるのは、ただのミゼーリアだ」

 ミゼーリア、それは悲惨さであり、貧しさだった。

 今になってみれば、その時のおじさんの気持ちはわからないでもない。

 ようやく1993年になって世界遺産に指定され、継承すべき貴重な社会遺産として世に注目されるようになったマテーラの洞窟住居は、岩に掘った洞穴に、…

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