10 マンツーマン指導は「教えやすいから」だけではない
入試の季節に
一七年二月某日、夜六時。埼玉県川口市内の公民館。
二〇人ほどの子どもたちと、ほぼ同数の大人たちが集まり、ノートにペンを走らせる。「ここができれば工業高校はなんとかなる。この部分は、ずっと出題形式が変わっていない。今年もきっとこんな感じだ。とにかくここだな」。先生役の大人が過去問の一部分を指示する。大柄だが幼さの残るイガグリ頭の中学生が、指された範囲を真剣に見つめている。埼玉県立高校の入学試験まで、あと一週間。
そんな話をしている脇で、次々と子どもたちが教室に集まってくる。制服、私服、ジャージと服装はさまざまだ。「こん…