「三沢光晴が広島の試合で心肺停止の状態だそうです。事実確認をとって下さい」
東京中日スポーツの報道部デスク、大西洋和記者からの電話である。2009年6月13日午後9時45分過ぎのことだった。
エッ! と言ったきり、時計の針が止まった。私は身体障害者2級、脳梗塞による後遺症で右半身麻痺の身であるが、ゾクッ、右半身が硬直するのがわかった。普段の身体感覚とは違う恐怖感だ。よだれが出る。古希を過ぎて、思考が止まった感覚になったのは、初めての経験だった。
続いて昵懇にしている朝日新聞スポーツグループの近藤幸夫記者(現・長野総局)からの電話。
「ノアの三沢が亡くなったらしい。広島支局と連絡を取ってから、また…
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