〇五年七月、山口組は臨時直系組長会で司忍若頭の六代目組長就任と、渡辺芳則五代目組長の引退を発表した。
山口組の組長席はそれまで終身制だった。渡辺組長はクーデターに等しい強引な引き下ろし工作で引退を余儀なくされたが、その出身団体である山健組は引退工作のブレーキ役にはならなかった。
山健組では山口組の組長交代に前後して、それまでの桑田兼吉組長が引退し、次の四代目山健組組長に井上邦雄若頭が就任、同時に山口組の直系組長に引き上げられた。
これにより、本藤が親しくしていた山健組系の組長はさらに山健組の中枢に近づいた。本藤にとってはプラス、マイナス両面を持つ…
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