この章では鳥瞰図的に裏社会のシノギ(つまり収益源)について一通りのことを踏まえておこう。本藤彰ののし上がり過程を理解するためにも欠かせない予備知識になるからだ。
裏社会のシノギで代表的な存在は、覚せい剤の密売と特殊詐欺だろう。二つとも扱いが巨額で、かつ社会に流す害毒が大きい。一言でいえば影響が社会の広い範囲に深く及ぶ犯罪である。
ここで裏社会とは、とりあえず暴力団と半グレ集団を指すことにする。警察がいう「反社」(反社会的勢力)のイメージに近い集団、組織である。
ただし「反社会的勢力」の具体的な中身は、
「暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運…
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