詐欺師の周りには詐欺師と同じ価値観(カネに色はついていない、カネはカネだ)を持つ者たちが無数に存在する
詐欺師たちはいかなる手口を使い、どんな人間を嵌めるのか? なぜ被害者が後を絶たないのか――? 溝口氏の面目躍如、現代日本の闇を暴く力作です。

第七章 思いついたイラク・ディナール詐欺

 円に両替できない通貨

 いつまでもカネ置き部屋に札束を積んではおけない。いくらセキュリティがしっかりしたマンションでも、下の階から火事でも起こされれば文字通り灰だし、空き巣狙いや不良中国人のピッキング盗、サムターン回しなど、心配のタネは数え上げれば切りがないほどだ。

 本藤は溜め込んだ資金を海外に逃避させることを考え始めた。五菱会の梶山進はヤミ金で詐取したカネを香港、スイス、ラスヴェガスに隠したが、ほとんど外国政府と日本政府に没収され、山分けにされた。

 梶山七人衆の一人である松崎敏和、奥野博勝が香港からシンガポールに送り、また香港に送り返された四三億円はど…

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