とはいえ、本藤に大望があったわけではない。描いていた将来像は意外にも平凡だった。
彼がイベントサークルに所属したのも、サークルでの体験や人脈が後の就職活動に役立つのではないかという計算からである。
まともな会社に就職し、まともに勤めることを考えていた。事実、彼は大学の講義にはまじめに出席し、四年間の成績で良は一つだけ、後はすべて優という成績だった。ゼミではゼミ長を務めた。「イノベーションと生産管理」がテーマだった。本藤が学部を次席で卒業したというのも十分納得できる。
彼は狙い通り一九九九年、大学を卒業し、大手の広告会社に就職した。成績がよかったし、イベサーのケツモチ、束ね…
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