クリーヴァーは、白人のマックス・シュメリングを黒人のジョー・ルイスがヘヴィウェイトのボクシング・マッチでやぶった時の米国白人の熱狂を分析して、これは、ナチズム(シュメリングはドイツ人)にたいするデモクラシーの勝利の象徴としてかんげいされたのではないという。米国の黒人が肉体の動きにおいて偉大な達成を示す時には、米国の白人は拍手をおしまない。拳闘選手ジョー・ルイスだけでなく、歌手ポール・ロブソンも、トラムペット吹きルイ・アームストロングも、熱狂の対象となった。しかしそれは、かれらの動きがからだの動きにとどまるかぎりにおいてだ。からだの恐怖を黒人にまかせきりにすることによって、肉の腐敗からまぬがれ…
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