スナイダーには、『わりぐりと寒山詩』(一九五九年)、『神話と本文』(一九六〇年)、『うらの国』(一九六八年)などの詩集があるが、ここでは彼のただ一つの評論集『大地の家計』(一九六九年)をとおして、その考え方をたどることにする。
この評論集の題名「アース・ハウス・ホールド」は「大地の家を支えとして」とでも訳すほうがよいのかもしれないが、同時にここには、「家計」(ハウスホールド)という意味もかくれており、地球を一つの家政の単位としてやりくりを考える工夫が必要だという著者の考え方を示している。「エコロジー」(生態学と訳される)の「エコ」はもともと「家」を意味し、「エコロジー」とは大地を舞台とした家…
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